作曲家・壺井一歩
Composer / Ippo Tsuboi
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マンドリンのためのソネット 第6番 / Sonnet for Mandolin No.6

[編成] マンドリンオーケストラ(Mandolin Orchestra)
[演奏時間] 12分
[作曲年] 2013.8.26
[初演] 2013.12.8 第一生命ホール(勝どき)
   《第10回定期演奏会》
   鷹羽弘晃(Cond.)リベルテ マンドリンオーケストラ
[委嘱・献呈] 望月豪、リベルテマンドリンオーケストラ

マンドリニスト・望月豪氏と2012年から共同で進めている「マンドリンのためのソネット」プロジェクトは、「マンドリンを必ず含むさまざまな楽器編成のための作品」を連作し、マンドリンのための新しいレパートリーとして広く紹介していく、というものである。このシリーズで我々は、聴く人演奏する人双方にとってまずは親しみやすいものにしたいと考え、「誰もが知っている、広く知られた歌」を素材にして作曲するという方針がとられることになった。
このように、既存の旋律を使いながらも、この企画の作品群はそれぞれに「作品としてのオリジナリティを持っていること」を我々は重要なこととして考えている。編曲作品ではなく作曲作品として発表しているのは、そういったあたりの責任の所在を明らかにする意味もある。
第5番に続いて、第6番もマンドリンオーケストラのための作品となった。しかし、第6番で使用されている素材は、2013年9月に初演されたオペレッタ「天女の愛のものがたり」の中のアリア2曲である。「誰もが知っている歌を素材にする」というルールからははずれることになったが、マンドリンのための新しいレパートリーとしてシリーズ全体を考えた上では、これもまたひとつの選択であると考えている。
第6番は3つの楽章からなり、1、3楽章に上記のオペレッタからの歌が素材として使用されている。ベトナムの民話が原作のオペレッタでは、天女と人間の若者との愛、そしてその家族の不思議な(民話にありがちな、結構理不尽な)運命が描かれているが、1楽章に使用したのは天女が一度は若者に別れを告げる悲しみのアリア、3楽章に使用したのは、天女と若者が(二人の間の)子どもを地上に残したまま天国に帰らなければならなくなる物語ラストのシーンでの別れの三重唱である。しかし、[ここでは]「マンドリンのためのソネット 第6番」として再作曲されているため、それらの素材はあくまで素材であり、背景の物語は重要ではない。編成は通常のマンドリンオーケストラだが、マンドリンとギターのトップ奏者がデュオを担当する部分も多く、その二人はソリストとして扱うことも可能である。

[試聴] YouTube
   2012.12.8 第一生命ホール(勝どき)
   《第10回定期演奏会》
   鷹羽弘晃(Cond.)リベルテ マンドリンオーケストラ
[出版] RaKuDa PUBLISHING Plus+
[録音] マンドリンのためのソネット(2枚組)

[備考]