[編成] 3管オーケストラ(3343, 4331, 4Percusions, Harp, 30Violins, 1Violoncello, 8Doublebasses)
[演奏時間] 10分
[作曲年] 2002.9
[初演] 2003.5.25 東京オペラシティコンサートホール
2003年度武満徹作曲賞本選演奏会
下野竜也(Cond.)東京フィルハーモニー交響楽団
[献呈] 民宿「休坂」
[演奏時間] 10分
[作曲年] 2002.9
[初演] 2003.5.25 東京オペラシティコンサートホール
2003年度武満徹作曲賞本選演奏会
下野竜也(Cond.)東京フィルハーモニー交響楽団
[献呈] 民宿「休坂」
オーケストラで「フォルテのトゥッティ」をやると、だいたいの場合「フォルテのトゥッティ」な音しかオーケストラからは出てこない、というまあ考えてみればあたりまえのことではあるが、そのことが以前より少しばかりの私の不満だった。弦楽器群を、管楽器群に「ブレンド」するようなやり方でトゥッティを形成することが「フォルテのトゥッティな音」の一因だろうと思った私は、「ブレンド」せずに、つまり混ざらないようなやり方を考えていた。
弦楽器群はたばねてしまう。
ヴァイオリンにヴィオラとチェロも一緒くたにしてしまうと動きがにぶくなったり、音域上の制約もいろいろ出てきてしまうのでこの際思いきってはぶいてしまう(最終的にチェロは一台だけ残した)。
コントラバスには特殊な役割を担ってもらうことにして残す。調弦も一部変えたりする。
そうやっていろいろ考えているうちに、私の頭の中には、管打楽器群と対峙する一個の巨大なヴァイオリンが生まれていた。
それはいかにも「個」ではあるが、「個」はいつでもひとつの意志で動くばかりでなく、まとまらずに分裂してしまうこともある、というようにこの作品を読むこともできるだろう(そんなにおもしろくはないけど)。
管打楽器群に立ち向かっていたはずなのに、その管打楽器群がさんざん鳴らしていた3つの和音に一瞬だけ染まってしまう、という部分もある。
大好きな北海道を旅行中、作品の主要なアイディアを思いついた。その夏初めて訪れた釧路の素敵な宿「休坂」にこの作品は献呈されている。タイトルの「星投げびと」はそのときに読んでいたエッセイ集のタイトルである。
北海道と私と音楽を、硬質な詩のごときStar Thrower の黒い影がリンクしている。