ペリグレーシャルの丘、また、丘
[編成] ピアノデュオ(Piano duo)
[演奏時間] 15分
[作曲年] 2014.4.29
[初演] 2014.6.21 杉並公会堂小ホール(東京)
   Duo Concert
   柏木泉(1st Piano) 柏木薫(2nd Piano)
[委嘱・献呈] 柏木薫・柏木泉

ペリグレーシャルの丘、また、丘
Periglacial Hills and Hills

ペリグレーシャル(periglacial)というのは「周氷河地形」という地形を指す地理用語である。日本では北海道の北部にある宗谷丘陵がそれで、北国の薄青い空の下になだらかな丘がどこまでも続いている。その景観にすっかり魅了されてしまった私は、20代のころ、毎年のように彼の地を訪れていた。いまでも「ペリグレーシャルの丘」は私の憧れそのものだ。作曲もまた、自分のまだ知らない音楽を「憧れる」行為であるという意味で、両者は私の中で確実につながっている。

この作品は、右ペダルの使用のあるなしでピアノが表現できる2種類の音色(右ペダルを踏んだ音をウエットな音、踏まない音をドライな音と例えてもいいだろう)を、2台のピアノで使い分けることによって同時に存在させるというコンセプトでできている。第1楽章では第1ピアノが右ペダルなし、第2ピアノが右ペダルほとんど踏みっ放し。第2楽章ではその役割が途中で逆転する。第3楽章では両者の役割は頻繁に交替するが、ここでは、長調と短調を同時的に鳴らせつつ濁ることがないという表現を試みている。ウエットなものとドライなものが同じ容器の中にあって、ふたつは実際には分離しているのだけど、遠目には交じり合っているように見えるという状況だ。これは、デジタルな音程しか出すことのできないピアノという楽器で、長調と短調の中間の色合いを錯覚させてみようという、ある種のマジックである。

このマジックのシーン、うねる16分音符の作り出すフレーズのひとかたまりひとかたまりが、作曲を続けているうちに、私の中で、どこまでも続く「ペリグレーシャルの丘、また、丘」となっていったのだった。

(タイトルは、堀淳一氏の「北海道 地図を紀行する(道東・道北編)」に収録の紀行文のタイトル「なまめくペリグレーシャルの丘また丘」を援用させていただいたものです)

[試聴]
[出版] Musse

[録音]
[備考]



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