作曲家・壺井一歩
Composer / Ippo Tsuboi
Works / 作品 > 猫を祭る / Lament for Five White Cat

猫を祭る / Lament for Five White Cat

[編成]クラリネット(Clarinet), 箏(Koto)
[演奏時間] 6分
[作曲年] 2022.6.2
[初演] 2022.10.23 adsホール(名張市)
   菅生三千代 第3回 箏リサイタル 絃によせて〜宮城道雄の世界〜
   菅生千穂(Clarinet) 菅生三千代(Koto)

中国・北宋時代の詩人、梅尭臣(1002 - 1060)の詩に「猫を祭る」という一編がある。それまで飼っていた「五白」という名の猫の死を悼む内容で、「お前を飼ってからというもの、私の書物はネズミに齧られることはなくなった、お前の働きは鶏や猪にも勝る」と讃えている。
しかし、面白いのは以下の一節だ。

昔 汝は一鼠を噛み
くわえ鳴いて庭除を巡れり
衆鼠をして驚かしめんと欲し
意はまさに我が庵を清めんとするなり

(猫を飼ったことのある人ならお分かりかと思うが)飼い猫はよく小動物を捕まえてはそれを飼い主に見せびらかしにくる。五白もまた、ネズミを捕まえて見せびらかしにきたに過ぎないのだが、梅尭臣はそれを「他のネズミを驚かして家の周囲から追い払おうとしてくれたんだね」と目を細めて詠んでいるのだ。まったく、猫バカは1000年の昔から変わらない。
仕事柄、梅尭臣は船によく乗り、その船中でも五白と一緒だった。そして、梅尭臣は死んだ五白を川に水葬する。西洋のバルカローレとは違うが、この曲は私なりに想像した中国の舟歌である。

[試聴] YouTube
   2022.10.23 adsホール(名張市)
   菅生三千代 第3回 箏リサイタル 絃によせて〜宮城道雄の世界〜
   菅生千穂(Clarinet) 菅生三千代(Koto)
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