Dear Mitya!
[編成] 弦楽オーケストラ Strings(64431)
[演奏時間] 15分
[作曲年] 2008.8.12
[初演] 2008.10.25 自由学園明日館
   Musik Verein Vol.15
   高橋勇太(Cond.)アンサンブル・シュエット
[委嘱・献呈] アンサンブル・シュエット

Dear Mitya!
Dear Mitya!

Dear Mitya!
あなたは世界に15を数える広大な森を残してくれました。それらはあまりに深く、何度分け入っても出会う風景はその度に異なります。
ミーチャ、いま私が作曲を続けているのは、高校生の頃、あなたの森の5のつくそれに迷い込んでしまったからです。

・・・ミーチャ、僕は長い間あなたを遠ざけていた。あなたの毒は強烈だ。あなたの森を安易に横断する者は皆ひどくかぶれて出てくることになる。あなたの森に分け入るとき、だから僕は作曲家の腕章をおいていた。ばれないようにね。臆病だろう?

あなたの横顔は灰色をしていると人は言う。けれどもミーチャ、凍えるレニングラードでグラズノフのクラスにいた頃の草原のような笑顔を僕は知っていると思う。
あなたの歩いてきた69年。
僕はあなたの森を逆走するのが好き。そして明るい風景にたどり着いたとき、あなたもいつだってここへ来れたし、きっと来ていただろうと想像する。音楽をすることは大変なことだ、でも、歩き始めた場所へいつだって戻れるってことは大事なことだよね?

ミーチャ、僕も森を作りたい。いや、もう作っている、本気で樹を植え始めてから16年(たった、って言うな!)、大したことはないがまあまあな広さはあると思っている。

・・・ディア・ミーチャ、親愛なるドミトリ・ドミトリエヴィッチ・ショスタコーヴィチ、ようやくいまここにあなたへの手紙をしたためることにします。感謝と、羨望と畏れと、ため口とめいっぱいの最敬礼を込めた16年越しの、16年分の、これはあなたへのつぶてです。

2008.8.12
壺井一歩

[試聴]
[出版] RaKuDa PUBLISHING Plus+
[録音]

[備考]



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