埼玉日記 2015年10月

埼玉日記


2015年10月

31日


「井上泰信 マンドリュートリサイタル」を聴く
大変重量級のプログラム
助演の小林薫さん(マンドリュート)も好演

しかし、この夜もっとも美しかったのは(音楽的な意味で)アンコールのトロイメライだった
井上泰信さんの本領は、圧倒的なテクニックなどではなく「歌」にあると思う

28日


ラヴェルのピアノ曲「ソナチネ」第1楽章展開部中ほどの部分↓

ってギターですよね説を自分はむかしからとなえているのだがという話をしたらFBでずいぶん盛り上がった
おおおなるほど、とかいやいやたまたまでしょう、とかいろいろ説
まあでもおそらくラヴェルは「ギター」を念頭に置いていたのだろうと、私は思う

でもね、とりわけ低音のミラレの3音の開放弦は確かに「ギター」なんですけど、ギターの開放弦ってのは調弦のときに鳴らすものであってギター音楽の響きとは違うよね、と思います
近代以降、ギタリスト作曲家じゃない作曲家がそういう音をちょくちょくギター曲の中で書いているけど、私は微妙な気分になる
なってました
それはギターの開放弦の音だけど、それがすなわちギターだというわけじゃないんですよ、と

これはね、カッコ付きの「ギター」なんですよ

24日


大学時代の師匠、藤原豊先生の作品展「藤原ユタカ作曲小個展2015」を聴く

先生ももう55歳、しかし自分が大学で習ってたとき先生はまだ35歳だったわけで、つまりいまの自分よりも若かったわけだ
なんかすごいな、と思った

おめでとうございました

20日


神田神保町の絵本専門店「ブックハウス」さんで、朗読とピアノのためのシリーズ「スイミー」「さるかに」「ごんぎつね」を収録下柏木薫さんのCD「語りピアノ」「語りピアノII」のお取り扱いが始まりました

18日


東京建物八重洲ホールで「風の賦 夢幻コンサート 第4回」を聴く
クラリネットの白川毅夫さん、ピアノの川辺千香子さんのデュオ

10-11日


ARTE国際マンドリンフェスティバル&コンクール


第2回の作曲コンクールに参加して以来ちょくちょく関わらせてもらっているこのフェスティバル&コンクール、初の東京開催となった今回は、ソロ演奏部門セミファイナルの課題曲を書かせてもらった
イン・サン - セリフ / In Sans-serif
リハーサルに一度も立ち会うことなく、初演になる曲を複数の演奏者の演奏で次々に聴かされるというのは作曲家としてはなかなかスリリングであり、とても楽しい

で、演奏のコンクールの課題曲ですから、ということで技術的な難易度は高め設定で作曲したのだが、

真面目なことも一応書いておくと、(セミファイナルの)課題曲をきちんと音楽にすることができていたのはお二方だけだった、と思います。自由曲で見事な音楽を披露されてた方でもそうでした。これはつまり、技術的なことだけが障壁になっていたわけではなかった、ということだろうと思います。
一般論として書けば、ある作品が、その作品の作曲家の想定外の表現で演奏されなおかつ説得力を持っている、ということもあり得るし私などはそういうのはとても嬉しいのですが、普通はあんまりありません。今回のお二方の演奏もその意味ではほぼ想定の範囲内でした。でもそれは当たり前のことです。
偉そうなことを言いますと、「楽譜にそういう風に書いてある」からです。
で、そういう風に読めるかどうかは、楽譜を読む、音楽を読み取る、という問題です。技術的な障壁だけが問題ではない、というのはそういう意味です。

と思いました
とはいえ、私の曲をきちんと音楽にできなかったとしてもそれはコンクールだから問題になったことであって、みなさん優れた音楽家だった、と思います

あと、フェスティバルコンサートでは望月豪さんのリサイタルもありました
今年の2月に初演された「マンドリンのためのソネット 第3番」が再演
ギターは山田岳さん

4日


雑司ヶ谷霊園